Abstract | 「はじめに」Cibenzoline succinate((±)-2-(2, 2-diphenylcycloprophy)-2-imidazoline succinate, 以下cibenzoline)は1971年フランスのUPSA社で開発された薬物で図1のような化学構造式を有し, 電気生理学的検討によりVaughan Williams分類で, クラスIa群の薬理学的特性をもつ不整脈治療薬である1, 2). Cibenzolineは各種不整脈モデルに対して, 薬理学的に類似のdisopyramideと同等ないし, やや強い抑制作用を示すが, 心抑制作用, 抗コリン作用はdisopyramideよりも弱く, 心筋虚血時の心筋代謝異常及び電気生理学的変化に対して改善効果が認められている3〜5). 臨床的には心室性及び上室性の頻脈性不整脈に安定した効果を示す6〜8). 錠剤は, わが国で既に1991年1月より藤沢薬品工業よりシベノールの商品名で発売されている. 注射剤は, 短時間での投与が可能で, 緊急治療を要する重篤不整脈に有用な不整脈治療薬である. 「体内薬物動態」1. 吸収 健常成人にcibenzoline100-200mgを単回経口投与した場合, 消化管からの吸収は良好で, 血漿中濃度は投与後1.3-1.5時間に最高濃度に到達し5-6時間の半減期で減少した(図2, 表1). |