Abstract | 「はじめに」アドレノメデュリン(adrenomedullin;AM)は, 1993年, 北村, 寒川らにより, ヒト褐色細胞腫より発見された52個のアミノ酸よりなるペプチドである1). AMは血管拡張を介した降圧活性を有しており, その降圧効果は既知の最も強力なペプチドであるCGRPに匹敵する. またAMは副腎髄質, 血管壁のみならず, 心臓, 肺, 腎臓などの多くの組織に分布し, 降圧活性以外に, 利尿, ナトリウム利尿作用2), 強心作用3), 肺血管拡張作用4), アルドステロン分泌抑制作用5)などの多くの生理活性を有することが知られている. さらに血漿および組織AM濃度は心不全6), 高血圧7), 腎不全, 肺高血圧8)の病態において上昇していることから, AMは循環調節因子として重要な働きをしていると考えられる. 本稿では各種循環器疾患における血漿AM濃度測定の臨床的意義, さらにはAMと循環動態との関連について概説する. 「血漿AM濃度測定の臨床的意義」1)心不全とAM Nishikimiらは心不全において, その重症度とともに血漿AM濃度が上昇することを報告した6). |