Abstract | 第72回日本薬理学会年会は菅野盛夫先生(北海道大・医・細胞薬理)を会長として, 平成11年3月22日から25日までの4日間にわたって, まだ雪の残る札幌にて開催された. 本学会において, 特別講演4題, 会長講演1題, 教育講演5題, 学術奨励賞受賞講演3題, シンポジウム19題そして一般演題として口演で334題, ポスターで699題が発表された. 特別講演において, 中村祐輔先生(東京大・医学研・ヒトゲノム解析センター)は, 「ヒトゲノム計画と21世紀の医療」という演題で, 2003年までに終了するとされるヒトゲノム解析によって期待される, 疾患の原因解明とそれにともなう新しい薬物の開発や治療方法について展望された. 岡本宏先生(東北大・医・医学生物化学)は「サイクリックADPリボース-Ca2+シグナルシステム:その分子機構と医学・生物学上の意義」という演題で, 膵臓のβ-細胞におけるインシュリン分泌に関与するサイクリックADPリボースによって細胞内Ca2+動態を制御する分子機構について説明され, さらにサイクリックADPリボース-Ca2+シグナルシステムが, 心筋や神経細胞などにおいても重要な情報伝達系である可能性を示唆された. |