Abstract | 「緒言」虚血による脳神経細胞死にアポトーシスの関与が注目されるようになって久しいが1〜3), 未だその機序に関して不明な点も多い. 本研究においては, 虚血性脳疾患におけるアポトーシスの発現のメカニズムとその意義を解明する手がかりの1つとして, アポトーシスを誘導するタンパクとして知られているFasおよびFas ligand(Fas L)が4〜10), 虚血性脳疾患において関与しているかどうかについて, 機能的なFasの遺伝子を欠損しているMRL/MpJ-lpr/lpr(MRL/lpr)系マウス11)およびFas Lを規定する遺伝子を欠損しているMRL/MpTn-gld/gld(MRL/gld)系マウス12, 13)を用いて検討し, さらに, 脳梗塞巣に浸潤している好中球がアポトーシスを起こしているかどうか, 起こしているとすれば, Fas L-Fas系を介しているかどうかについて検討した. 「材料および方法」I. 実験動物 Jackson Laboratories(Bar Harbor, Maine, USA)由来の2か月齢の雌雄マウス, MRL/MpJ-+/+(MR/+)(正常コントロールマウス), MRL/lpr(Fas欠損マウス), およびMRL/gld(FasL欠損マウス)を用い, 東北大学医学部動物実験施設にて同施設の実験指針に準じて飼育・実験を行った13). |