Abstract | 「はじめに」 β受容体遮断作用(Class II)とカリウムチャネル遮断作用(Class III)を併せ持ち, 心室頻拍あるいは心室細動などの致死性不整脈の治療薬として新たに開発されたsotalol hydrocholoride(以下sotalol)は, 図1に示す化学構造式を有する. Sotalolは水溶性で, d体及び1体の光学異性体があり等量のラセミ体である. Sotalolは当初β受容体遮断作用を有する化合物の検索を目的とし1960年に米国のBristol-Myers Squibb社(当時, Mead Johnson社)で合成され, 1974年に英国で降圧薬として初めて臨床応用された. しかし, 1970年代に心筋における電気生理学的な検討から, sotalolはカリウムチャネル遮断作用に基づく心筋活動電位の持続時間を延長させ, 有効不応期を延長する作用が明らかになった. SotalolはVaughan Williams分類ではカリウムチャネル遮断作用のClass IIIに分類されているが, sotalolの抗不整脈作用はβ受容体遮断作用(Class II)とカリウムチャネル遮断作用(Class III)の両作用によるものと考えられている. |