Abstract | 「はじめに」 ACE阻害薬は高血圧の治療のみでなく, 心不全症例の生命予後の改善や糖尿病性腎障害の治療にも有用であることが確認され, 最近特に注目されている薬物である. このうち, ペリンドプリルエルブミンはフランスのセルヴィエ社により合成され, 高血圧症, 慢性心不全を適応症として開発されたSH基を有さないプロドラッグ型のACE阻害薬である. 日本では1998年4月に第一製薬株式会社より製品名をコバシル, 適応症を高血圧症として発売されたが, 世界的に見ると, 心不全に対する有用性も認められており, 現在世界101ヵ国において心不全に対する適応も承認されている. ここでは, ペリンドプリルの構造, 薬理作用や体内動態, 血管リモデリング改善効果を含めた臨床効果などについて概説する. 「構造と特性」 ペリンドプリルは図1に示すような化学構造式を有するACE阻害薬である. アンジオテンシン変換酵素(ACE)には3つの結合部位(S1, S'1, S'2)があるが, このうち特にS'2の役割が重要であり, この部位と強力に結合する基を有する薬物は, より強いACE阻害作用を示すことが確認されている. |