Abstract | 「はじめに」 近年における, 医薬品や医療用具の研究開発には著しい進歩が見られ, 国民の保健医療の向上に大きく寄与してきた. しかし, 一方, サリドマイド, スモン, ソリブジン又は非加熱血液製剤などによる悲惨な被害が発生しており, 市販後の安全性確保対策が, 重要な課題となっている. 医療用具についても, 市販前から承認審査, 市販後に至るまで, 医薬品と同様に, 一連の安全対策が講じられてきている. 医療用具が市販された後, 様々な患者に広く使用された場合, その特徴に応じて様々な「不具合」が生じるが, 医療用具による健康被害を防止し, 安全使用を図るためには, 医療用具が実際に医療の現場で使用された際の安全性に関する様々な情報を収集し, 対策を講じていくことが求められている. 現在, 厚生省で実施している医療用具の市販後の安全対策の概要を紹介したい. なお, 医療用具には, 手術台・治療台, 医療用照明器, 医療用消毒器, 麻酔器, 呼吸補助器, 人工心臓弁・人工血管・人工心肺装置・透析装置・透析用監視装置・人工膵臓その他の内臓機能代用器, MRI, 医療用X線装置から, 注射針・注射筒, 医療用はさみ・医療用ピンセットや視力補正用レンズ, 縫合糸・手術用手袋等の医療用品, 歯科材料, コンドーム等の衛生用品等, 医療のために使用される器具機械や材料が含まれており, 薬事法で規制されている. |