Abstract | わが国においても平成9年10月10日より心臓移植が可能となり, 平成11年2月28日, はじめての脳死患者から臓器提供があり心臓移植が施行されたと報道された. 心臓移植後の生存率はサイクロスポリンが導入された1982年以降向上し, 1年生存率は80%, 3年生存率は72%を示している. また, 心臓移植を受けた患者の85%はNYHA機能分類がクラスIに改善し, クラスIIIおよびIVは2%で, 著しい生存率とquality of lifeの向上をもたらした. しかしながら, ドナー心不足は深刻な問題である. それゆえ, 改めてわが国における心臓移植の適応基準をここに上げたい. その対象は, 従来の治療法では救命ないし延命の期待がもてない重症心疾患である. (1)適応疾患:拡張型心筋症および拡張相の肥大型心筋症, 虚血性心疾患, (2)適応条件:長期間または繰り返し入院治療を必要とする心不全, β遮断薬およびアンジオテンシン変換酵素阻害薬を含む従来の治療法ではNYHA心機能分類クラスIIIないしIVから改善しない心不全, 現在行われているいかなる治療法でも無効な致死的重症不整脈である. |