Abstract | 「はじめに」手術時には, 手術操作に伴う組織破壊の結果, サイトカインが産生される. サイトカインが過剰に産生されると, 全身性の炎症反応(systemic inflammatory response syndrome:SIRS)が惹起される. このサイトカイン反応が制御されずに増幅されると, ショックへと進展する可能性がある. 本稿では, 手術侵襲時におけるサイトカイン産生動態とサイトカインが血行動態に与える影響について解説する. 「サイトカインとは」サイトカインは細胞間のコミュニケーションを行うタンパク質性シグナル伝達分子の総称であり, 感染防御, 免疫, 造血, 神経機能, 創傷治癒, など, 生体の高次機能の維持に重要な働きを司っている. サイトカインにはtumor necrosis factor-α(TNF-α), interleukin-1β(IL-1β), IL-6, interferon-γ(IFN-γ)などのリンフォカイン/モノカイン, コロニー刺激因子などの造血因子, transforming growth factor-β(TGF-β), epidermal growth factor(EGF)などの増殖因子, などがあげられる. |