Abstract | 「はじめに」Batista手術は末期的不全心に対する外科治療法としてBatistaによって考案され1), ブラジルの特殊な医療状況下で臨床的適応が開始された. 本法の概念はLa Placeの定理に基づいている. すなわち, 左室径を縮小させることで左室壁応力が減じ, 左室容積と心筋重量関係の正常化を期待しうるという仮説である. 心臓移植が普及している欧米諸国でも移植心の提供者不足は深刻であり, 心臓移植の代替として, または心臓移植への橋渡しとしての役割を期待されて, Batista手術は世界中で急速に受け入れられ, 普及するようになった. 本邦では本法の出現当時に心臓移植という選択肢はなく, 現在でも実用的選択肢とはいい難いため大きな期待が寄せられた. 現在, 多数の手術症例の蓄積によって, 多施設での本手術法に対する基礎的, 科学的検討が進みつつある. 本法はBatistaによって考案, 実用化がなされた独創的な術式であり, その名を冠することに異論はないが, 現在は一般的にPartial left ventriculectomy(PLV)と呼ばれていて, 本稿でもその用語を用いる. |