Abstract | 「はじめに」サイトカインはインターロイキン(Interleukins:ILs)をはじめとして非常に多くの種類が知られている. サイトカインにはproinflammatoryサイトカイン(IL-1, tumor necrosis factor-α:TNF-αなど), 免疫細胞の遊走や活性化に関与するケモカイン(IL-8, macrophage chemoattractant protein-1:MCP-1など), あるいは増殖因子など種々の作用を持つ分子があり, 免疫反応や炎症反応に関わる重要な生理活性物質である. うっ血性心不全などの慢性心疾患には種々の神経液性因子がその病態形成に関与しているが, 最近ではサイトカインによる心筋のリモデリングや病態形成における役割が注目されている. 本稿では心機能調節や心疾患におけるサイトカインの役割と, 心不全の治療薬として用いられているphosphodiesterase(PDE)インヒビターとの関係について述べる. 「サイトカインと心機能」慢性心不全の患者の血中TNF-α濃度が健常人よりも高いことが報告されて以来, TNF-αをはじめとするサイトカインと心疾患との関連が注目を浴びてきた. |