Abstract | 「はじめに」サイトカインは細胞間の情報伝達を担う可溶性タンパク質の総称である. 免疫反応, 炎症反応だけではなく, 細胞増殖, 分化, 生殖といったほぼすべての生命機能に何らかのサイトカインが関わっている. サイトカインは標的細胞上に存在する特異的受容体(レセプター)に結合し, 細胞内シグナル伝達経路を介して種々の遺伝子発現を制御し, 個々の生理活性を示す. サイトカイン遺伝子が同定されてからわずか20年足らずの間にこれらのレセプターとシグナル伝達分子, 転写因子が次々と同定され, それらの機能が明らかにされるのに伴い, サイトカインが細胞に作用して遺伝子発現に至るまでの過程が明らかとなってきた. 特に, JAK/STAT経路は免疫系において最も重要なサイトカインシグナル伝達経路である. また, IL-1とIL-18のレセプターは, 細胞内にToll/IL-1R相同領域(TIRドメイン)を有しており, リポポリサッカライド(LPS)などの菌体成分の認識に関わるToll様レセプター(TLR)と共通のシグナル伝達経路を利用しており, 近年注目されている. 本稿では, サイトカインレセプターと, 上記2つのシグナル伝達経路について概説する. |