Abstract | 「はじめに」利尿薬は古くから心性, 腎性, 肝性の浮腫疾患の治療に用いられてきたが, 1958年に最初のサイアザイド系利尿薬hydrochlorothiazideが合成されて以来, 浮腫性疾患のみならず高血圧の治療薬としても広く用いられるようになった. その後, Ca拮抗薬やアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACEI), アンジオテンシン受容体拮抗薬(ARB)などの新しい降圧薬の出現で利尿薬の役割は低下したかに見えたが, 最近のALLHAT研究などの大規模試験の結果は, 利尿薬が高血圧治療における第1選択薬であることを明らかにした1). 心不全の治療においても, β遮断薬やACEI, ARBの生命予後改善効果が注目されるなかで利尿薬の役割が見落とされがちであるが, こうした大規模臨床試験の全てに利尿薬は標準薬として用いられていることを再認識しておく必要がある2, 3). 利尿薬は構造および尿細管の作用部位の違いによりサイアザイド系利尿薬, ループ利尿薬, カリウム保持性利尿薬に分類される. トラセミドはループ利尿薬に分類されるが, フロセミドを代表とする従来のループ利尿薬とは異なった特色を持っている. |