Abstract | 「はじめに」最近, アルドステロンが注目されている. レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系において, 過去の多くの基礎研究, 臨床研究ともにアンジオテンシンIIに焦点をあてたものが多かった. この傾向は, 高血圧, 心筋梗塞, 心不全などのいずれの病態においても認められる. アルドステロンが注目されるようになったのは, 慢性心不全患者における抗アルドステロン薬の有用性(RALES試験)が報告されたことが大きい. 「アルドステロンの心筋線維作用」10年以上前に, Weberらはラットにおいてアルドステロンが心筋線維作用を有し, その作用は血圧と独立していると報告した1). アルドステロンが腎血管性高血圧発症のラットにおいて, 心筋線維化は高血圧性肥大を生じている左室に加えて, 肥大を生じていない右室にも認められた. したがって, 血行動態のみでは説明がつかず, 内分泌的因子の関与が考えられた. さらに, 両腎摘出ラットにアルドステロンとナトリウムを持続投与したところ, アンジオテンシンIIはネガテイブフィードバックによって抑制されているにもかかわらず, 著明な心筋線維化が認めれた. |