Abstract | 「要旨」現在日本では企業製ステントグラフトは使えず, また手術手技は保険で認められているが金属ステントやステントグラフトのデリバリーシースは保険償還されないという過酷な状況にある. したがって多くの施設では薄い人工血管に金属ステントをモノフィラメント糸で縫着してステントグラフトを作成し使用している. こうした手作りのステントグラフトでも胸部下行大動脈瘤では成績が良く, さらに大動脈の形状に合わせたものでは遠位弓部下行大動脈瘤に対しても成績が良い. しかし腹部大動脈瘤では企業製のステントグラフトの方が手作りのものより成績が良いことが判明しており日本での早期導入が望まれる. しかしステントグラフトの成否を決めるのは厳密な解剖学的適応であり, 適応を誤ると低侵襲手術でなくなるので注意が必要である. 「はじめに」1998年11月に私はステントグラフト講習のためニューヨークの大木先生を訪ねた. 大木先生はニューヨークのMontefiore病院でステントグラフトを多数行われ既に有名であった. 全く面識の無い私に丁寧な手紙の返事をくださり会っていただけることになり, ちょうどVascular Symposiumがあってそのときにステントグラフトを含めた血管内外科治療の講習会も開かれるので参加してみてはとのことであった. |