Abstract | 「レニン-アンジオテンシン系が血圧調節の鍵を握っている(図1)」レニンアンジオテンシン(R-A)系が血圧調節に最も重要であることはよく知られている. 筆者はこのことを以下の様に考えている. 図1をみるとわかる様にレニンが合成・分泌される傍糸球体細胞には全身で発生するすべての情報が様々な形で伝えられている. 人間の体内で発生する情報は大きく分けて物理的な量で伝えられるもの-例えば血圧(mmHg), 流量(ml/分)神経伝達による電圧(voltage)や周波数(cylce)-と化学的な変化で伝えられるもの-有機物質としてホルモンをはじめとする生理活性物質, 無機物質として電解質-がある. この傍糸球体細胞は圧やずり応力を感知し, 神経支配を受け, かつ様々な生理活性物質の受容体を有し, さらには, 遠位尿細管に到達するCl量により, NaCl摂取量の調節に関する情報を受けている. これらはすべて人体で発生し, かつ血圧調節に深く関連する重要な情報である. これらの情報がすべて集約されて, レニンの合成遊出という形で全身に伝えられていく. レニンは酵素であることより基質であるアンジオテンシノーゲンと反応して, 弱い生理活性をもつアンジオテンシン(Ang)Iをつくり出す. |