Abstract | 「はじめに」レニン-アンジオテンシン(RA)系は, 高血圧の発症維持に重要な役割を果たすとともに, 動脈硬化や心血管系のリモデリングを促進し, 臓器障害の進展に深くかかわっている. この系を選択的に遮断するアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)は, 大規模臨床試験において降圧効果のみならず臓器保護効果も認められている1〜3). アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)はACE阻害薬に比べ副作用が少なく, 発売当初から積極的に使用されていたが, 最近になって続々と大規模臨床試験の成績が明らかになり, 期待にたがわぬ結果が報告されるようになった4〜6). カンデサルタンはわが国において開発され, ロサルタンに次いで2番目のARBとして1999年6月から本邦でも臨床使用が可能になっている. 「化学構造と特性」カンデサルタンはベンズイミダゾール酢酸誘導体で, カルボキシル基とテトラゾール基という2つの酸性基を持つことと, アルキル側鎖がテトラゾリルビフェニルメチル側鎖と隣り合う構造を持つことを特徴としている(図1). この2つの構造的特徴により, カンデサルタンはAT1受容体に対して強力で長時間持続する結合能力を持ち, いわゆるinsurmountableな拮抗作用を示すと考えられている. |