Japanese
Title迷走神経刺激による難治性てんかんの治療
Subtitle特集 第25回総会パネルディスカッション『生体情報とバイオニック医学』
Authors平孝臣
Authors(kana)
Organization東京女子医科大学脳神経センター脳神経外科
Journal循環制御
Volume25
Number4
Page356-361
Year/Month2004/12
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract迷走神経を電気刺激して難治性のてんかんを治療するということを聞いた場合, 最近のてんかんの治療に直接従事していない医療者の大半は, なぜ迷走神経とてんかんが関係あるのか, 本当に効くのか, その作用機序は何かという疑問がわくのが当然であろう. しかし一方でこの治療が欧米では既に数万例に対して行われ, 様々な問題や批判をかかえながらも, 難治性てんかんの治療のひとつとして確立した地位を占めていること, 他方, 本邦では既に臨床治験が終了した後既に10年近くが過ぎようとしていまだに医療機器として認可されるめどがたっていないこと, などを知ったとき, そのギャップに驚かざるをえないであろう. 本稿では, 普段てんかんなどの脳神経疾患に直接接しない医療者を対象に, 難治性てんかんに対する迷走神経の電気刺激について概説する. 難治性てんかん 本稿では理解しやすくするため, てんかん発作とは「脳内の多数の神経細胞が同期して過剰興奮する状態」であるというJacksonの定義を用いたい. このようなある程度多数の異常興奮を起こす神経細胞が集合している部位を発作焦点と呼ぶ. このようなてんかん発作をもつ患者は一般人口の200人に1人程度いる. その約20%が薬物治療を中心とした保存的治療でも週に一回以上の発作が起こる難治性てんかんに属する. すなわち非常にラフに見積もった場合, 一般人口の1000人に1人に難治性てんかん患者が存在すると考えてよい. このような難治性てんかんは,放置すれば精神機能の発達や維持に悪影響を及ぼすのは当然,発作さえコントロールされれば通常の社会生活がおくれる例も少なくない.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

【全文PDF】