Japanese
Title術中輸液・輸血療法の展望
Subtitle総説
Authors小堀正雄
Authors(kana)
Organization菊名記念病院麻酔科
Journal循環制御
Volume26
Number1
Page18-23
Year/Month2005/3
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「はじめに」輸液の目的は大きく2つに大別される. ひとつは生体が消費する電解質, 水分を中心に補う維持輸液と細胞外液領域の変動に対処する細胞外液型輸液である. 術中輸液の中心は後者に属する. 従来まで, 術中輸液は大量の乳酸リンゲル液を使用していたが, これもそろそろ再考すべき時期にある. 今回, 手術中輸液の将来の展望について考えてみた. 体液区分の成り立ち生命の最初は単細胞であった. 生命と外界が区分される必要が生じ, 細胞膜がその役割を果たす. 細胞膜の内側は細胞内液であり, 外は外界としての海である. この時には細胞外液の概念はない. 細胞膜は容易に外界からの侵入を許さず, 電解質さえも判別し, 自己と他を区別する. ただ, 晶質浸透圧による水分移動は容易に行われる. 日常の輸液管理でも浸透圧比が著しく異なる輸液は一般に使用せず, この影響は細胞内へも簡単に及ぶからである. 単細胞なら外界から必要な物質を直接取り込めるが, 多細胞では体積に対する表面積が著しく狭小化し, これでは外界から直接取り入れることが不可能となる. すると, 各細胞間に新たな外界としての海を作り, ここから必要な物質を吸収排泄を行うために外界の海を体内に取り込む. 最初の細胞外液は, 栄養素が溶けて細胞間を潤していたのだろう. 酸素を利用する(好気性代謝)とエネルギー効率が飛躍的によくなりこれに対応できるように酸素供給を各細胞に行うこととなる. しかし, 細胞外液による溶存酸素だけでは不足する事態となりそれぞれの目的を持った器官の発達が起こる. その後, 巨大化により遠隔地に酸素, 栄養素を運ばなければならないため, 脈管系そして, 溶存酸素だけでは酸素供給が賄えないため血球ができ, その内容を効率良く運ぶため今日の循環系が誕生した.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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