Japanese
Title腎不全患者における薬物動態
Subtitle講座
Authors平田純生
Authors(kana)
Organization白鷺病院研究室・薬剤科
Journal循環制御
Volume26
Number1
Page29-35
Year/Month2005/3
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「はじめに:腎不全の薬物動態を知ることの重要性」腎臓は薬物が排泄される経路として最も重要な臓器であり, 腎不全患者に腎排泄性の薬物を通常量投与すると排泄遅延により蓄積して, 中毒性副作用を起こしやすくなる. 腎不全患者ではこれらの排泄遅延だけでなく, 蛋白結合率の変動, 溢水による分布容積の増大が見られることがあり, 薬物中毒に陥りやすくなったり, あるいは逆に期待したとおりの効果が得られないことが多々ある. そのため腎不全患者に薬物を投与する際には, 吸収分布代謝排泄などの薬物動態上の変化について十分把握する必要がある(表1). 薬物動態というと難解なイメージがつきまとうが, 要するに薬の体内での「行方(ゆくえ)」の特性を理解することが重要なのである. 腎不全患者特有の病態および薬物動態の特性を把握しておけば, 肝不全と異なり腎不全の薬物投与設計は決して難しいものではない. 腎不全患者の薬物動態の特徴で最も重要なのは腎による排泄不全である. その他にも分布の変化, 代謝の変化などもあるが重要度の高い排泄から順に解説する. 排泄 A. 腎排泄性薬物の蓄積 薬物には極性の低い脂溶性薬物と極性の高い水溶性薬物がある. 脂溶性薬物は肝臓あるいは小腸において代謝され, 多くは活性を持たない, より水溶性の高い代謝物となって尿中, あるいは胆汁中に排泄される. 一方, 水溶性の薬物は肝で代謝を受けることなく, 腎から排泄される(図1). つまり腎不全患者では尿中未変化体(あるいは活性代謝物)排泄率の高い薬物は蓄積することによって中毒性の副作用を来たしやすい.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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