Japanese
Title冠動脈硬化に関する最近の考え方と薬物療法
Subtitle特集 第14回循環器セラピューティック・フォーラム『冠動脈硬化の内科治療』
Authors木下誠
Authors(kana)
Organization帝京大学内科
Journal循環制御
Volume26
Number2
Page100-102
Year/Month2005/6
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract冠動脈疾患(CHD)の最も重要な危険因子が高コレステロール血症であり, これを改善させることでCHDが有意に減少することはすでによく知られている. しかし高コレステロール血症を治療してもCHDの減少率は30-40%程度であること, また日本人ではCHDに対して高中性脂肪血症や低HDL血症の関与が多いことが推測されることなどより, 新たな危険因子としてメタボリックシンドロームが注目されている. メタボリックシンドロームとは, 内臓脂肪蓄積, インスリン抵抗性を基盤に, 耐糖能異常, 高血圧, 高脂血症(高中性脂肪血症, 低HDL血症)などを呈する病態で, このような異常が重積することにより個々の異常の程度は軽度でもCHDを起こしやすくなってくる病態と考えられている. 現在我が国においても, メタボリックシンドロームの診断基準作成が始まっている. 表1に米国のWHOとATPIIIが作成したメタボリックシンドロームの診断基準を示す. この診断基準には高コレステロール血症は入っておらず, メタボリックシンドロームは高コレステロール血症とは独立したCHDの危険因子であると考えてよい. メタボリックシンドロームの根底にインスリン抵抗性があることが考えられていることより, 我々は冠動脈造影を行った患者を対象に糖負荷試験を施行し, インスリン抵抗性と冠動脈病変の関係を検討した. 対象としたのは, 当院にてCAGを施行された連続112例の患者で, すでに高脂血症や糖尿病の治療を受けている者やHbA1c 6.0%以上の患者は除外した. 対象となった患者背景を表2に示す. 冠動脈狭窄率が50%未満であった狭窄無群(NS群)と, 75%以上の有意狭窄が認められた狭窄有群(S群)の2群に分類し検討した結果, S群において年齢と高血圧の頻度が有意に高値であった. 患者の血清脂質を表3に示す. 高脂血症治療歴のない患者を対象としたためか, 血清脂質値には両群間でまったく差は認められなかった.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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