Abstract | 冠動脈インターベンションの現況:長期予後は改善したか? 冠動脈インターベンション(PCI)はステントの登場により, 急性冠閉塞による重大合併症は克服され, 安全に施行可能となり, 虚血性心疾患治療の中心的役割を担うことになった. 現在本邦では年間約14万例に, 全世界では年間100万例を超える症例にPCIが施行され, その80%以上にステントが使用されている. また, PCIの残された唯一のアキレス腱であった再狭窄の問題も, 薬剤溶出性ステント(DES)の登場により克服されようとしている. DESの登場により再狭窄率は, 従来のステントの30%前後から, 10%未満に低下し, 再血行再建率も著明に低下した. 米国ではDESの承認後, び慢性病変, 小血管, 糖尿病, 多枝疾患患者にPCIの適応は拡大され, バイパス手術(CABG)は減少している. しかし, このようなPCIの隆盛期において, 血行再建術の最終目標である生命予後とQOLで規定される, 長期患者アウトカムは本当に改善されたのであろうか? PCIはCABGに比較して短期予後は同等以上の成績が得られているが, 長期予後において本当にCABGと同等の成績が得られているのであろうか? 再狭窄に対して強烈なインパクトを与えたDESのlandmark studyであるSIRIUS試験やTAXUS-IV試験では, 治療9ヵ月以内に発生する重大心事故(死亡, 心筋梗塞)の発生頻度はDES群と従来のステント群で同等であり, DESの再狭窄予防効果は明らかであるが, 死亡, 心筋梗塞のイベント抑制効果はみられず, 二次予防の重要性が示唆されている. |