Japanese
Title司会の言葉
Subtitle第26回総会シンポジウム『周術期の安全確保にプラスになる心血管エコー』
Authors小出康弘
Authors(kana)
Organization横浜市立大学附属市民総合医療センター麻酔科
Journal循環制御
Volume26
Number3
Page183-183
Year/Month2005/9
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract超音波診断装置はデジタル技術などによりその解像度は飛躍的に向上し, 機器の軽量化も進んでいる. 携帯型超音波診断装置は診断法に制限があるもののベッドサイドで簡単に使用できるという点で臨床的にその有用性は高まってきている. そのような状況のなかで, 今回シンポジウムとして, 「周術期の安全確保にプラスになる心血管エコー」というテーマで, 4名のシンポジストの先生方に講演をお願いした. まず, 下肢静脈エコーをテーマとして取り上げた. 肺血栓塞栓症(PTE)に関連した事項として, 周術期管理に非常に重要な診断的価値があると認識している. PTEを起こしやすい中枢型DVT(膝上の深部静脈血栓)の診断法は, 周術期管理を行う麻酔科医, 外科医が身につけておくことが望ましい手技と考えられる. 術前リスク評価, 術後離床前の評価, PTE発症時のDVT診断は, それぞれの時期に有用な情報を提供できると考えている. 次に, 中心静脈カテーテル挿入時のエコーをテーマとした. 日本において, 中心静脈カニュレーション時の合併症の正確な情報はないが, 医療事故報告や医師の経験談から, 相当数の合併症が起きていると推測できる. 米国麻酔科学会のclosed claimstudy(訴訟例や示談症例をまとめたもの)の報告をみると合併症による死亡率(47%)は高く, 賠償となった事例(66%)も多い. 当然技術の習熟度に関連する問題もあるが, 十分な経験のある施行者にもこのような合併症は生じうる. その1つの理由に動脈や静脈の走行における解剖学的差異があげられる. エコーは簡単にこの動静脈の位置関係や血管内の血流などを瞬時に診断でき, 穿刺における安全確保に果たす役割は大きいと考えられる. しかし, エコーを使用する手技の確立, 穿刺針やカテーテルの開発, 経済的問題など解決しなくてはならない問題がいくつかある. 現時点では, 穿刺困難な症例における積極的なエコー使用, 穿刺挿入時異常を感じたらエコーにて確認を行うことが推奨される. 3, 4番目は共に経食道心エコー法(TEE)についてのテーマである. TEEは, 心臓大血管手術において不可欠なモニターとなっている. このTEEが臨床の場で有用と感じられる場面は様々あるが, 特に循環が不安定になったときの診断, 人工心肺離脱困難時の使用は周術期管理の中で重要な適応であると考えている. 著明な循環不全を示した場合には, 血圧の低下に対して血管収縮薬, 強心薬を投与するという画一的な治療法は, 提示された多くの事例から考えて, 本質的な治療にならないことを認識すべきである. このような場合には, なぜこのようなことが生じたのかという原因(診断)を明確にして, 積極的な治療をすることが肝要であると考える. 診断に迷いがあれば, 治療は遅れ, 積極的な治療を展開することが困難となるはずである. 周術期の危機管理を行う上で, TEEは有用なツールとなるので, このような診断装置に普段から慣れておくことは大事である.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords