Abstract | Gender‐specific Medicine:性差医療(医学) Gender-specific Medicineとは, 男女比が圧倒的にどちらかに傾いている病態, 発症率はほぼ同じでも, 男女間で臨床的に差を見るもの, いまだ生理的, 生物学的解明が男性または女性で遅れている病態, 社会的な男女の地位と健康の関連などに関する研究をすすめ, その結果を疾病の診断, 治療法, 予防措置へ反映することを目的とした医療改革である. 米国では, 1977年に米国医薬品局より「妊娠の可能性のある女性を臨床試験に組み込むことは好ましくない」との通達が出されて以来, 女性生殖器および乳腺の悪性腫瘍を除くと, 多くの生理医学的研究における臨床試験が, 対象から女性を除外し, 男性をモデルとして計画され, その研究結果があたかも疾病病態が女性でも同じであるかのごとく, 何の疑問も無く女性に当てはめられてきた. しかし, 1990年代に入り米国政府は「全ての年齢の女性において, 女性に特有な病態についての生物医学研究が行われるべきである」として, NIHの中に, 女性における疾病の予防, 診断, 治療の向上と, 関連する基礎研究を支援する目的で, Office of Research on Women's Health-ORWHを開設し, 性差を考慮した医学(Gender-specific medicine)を推し進めてきた. |