Abstract | 近年, CT装置の技術革新はめざましく, 検出器の多列, 薄層化が進み, 複数の検出器を搭載した多列検出器搭載CT(Multidetector‐row CT:MDCT)が登場し, 動的臓器である心臓をCTにて撮影することが可能となった. 心臓MDCTにて心臓形態, 心膜炎, 心筋症, 弁膜症, 冠状動脈疾患などの形態診断のみならず, 局所心機能評価まで可能である. 本稿では虚血性心疾患の画像診断, 特に16列MDCTによる冠状動脈の画像診断を中心に述べる. 冠状動脈MDCT撮影法 A. 前処置 心周期における拡張期時間は心拍数に依存し, 時間分解能を向上させ鮮明な画像を得るには低心拍数が有利である. そのため頻脈傾向にある場合は, 気管支喘息や著明な心機能低下症例などの禁忌症例を除き, β遮断薬を検査前に投与している. また十分な冠状動脈拡張を得る目的で亜硝酸剤も使用している. 16列MDCTでは約20秒間の呼吸停止が必要であり1), 心電図モニター下に呼吸停止練習を行い, その間の心拍数変動をチェックする. B. 造影剤注入法 16列MDCTでは約100mlの造影剤を必要とし, その注入法には1段注入法, 2段注入法, 2段混合注入法などがあり, インジェクターを使用する. |