Japanese
Title司会の言葉
Subtitle第26回総会シンポジウム『突然死を防ぐ‐エコノミー症候群と肺塞栓症‐』
Authors高橋成輔
Authors(kana)
Organization九州大学大学院医学研究院麻酔・蘇生学
Journal循環制御
Volume26
Number4
Page291-291
Year/Month2005/12
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract第26回日本循環制御医学会の公開シンポジウムは, 長崎バイタルサインセミナーとして開催されました‐このセミナーは, 「防ぎうる死:Preventble Death」を1つでも減らし, その助かるはずの生命を確実に救い上げる知恵を求める勉強会として, 澄川耕二会長によって提唱された「突然死を防ぐ‐エコノミー症候群と肺塞栓症‐」というテーマのもとに, 手術部, 麻酔科, 集中治療部, 救急部, 循環器科など急性期医療に携わっている400名前後の看護師ならびに関連分野の医師や技士(技師)の方々など数十名を加えて, 熱気あふれる会となりました, ご承知のように, 近年我が国でも突然死の原因として肺塞栓症が注目されています. いわゆるエコノミー症候群として一般社会でも認識され, とくに航空機の狭い座席に座っての長時間旅行では適度な運動と水分補給に代表される予防法も推奨されるなど, その予防, 早期発見, 早期治療に関する国民の理解も深まってきています. しかし一方では新潟中越地震被災者の方々の, 車中泊による肺塞栓の発症などが報告され, 国民へのさらなる啓発活動の必要性など, 新たな問題提起もされています. 今回のセミナーでは, まずはじめに, 2004年6月に日本ではじめてまとめられた, 「肺血栓塞栓症/深部静脈血栓症(静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」の作成委員として精力的に関与された, 長崎大学第2内科の宮原嘉之助教授が, ご自身で関与された北九州市の関連病院における, 院外性心肺停止患者の解析を通じて, 突然死の種類とメカニズムを解説され, 肺塞栓症を含む突然死の救命率を左右する要因として, バイスタンダーCPRにはじまる, Chain of Survivalの重要性を強調されました. 続いて北海道大学救急医学の丸藤哲教授から, エコノミー症候群と肺塞栓症‐集中治療領域における考え方と予防法一と題して, 出産, 手術, 旅行, 車中泊, その他で発症する肺塞栓症の病態生理, 疫学, 原因, 誘因, 診断, 集中治療室での予防や治療について明解な解説を頂きました. その中で丸藤教授は, 肺塞栓症に対するJapanese Evidenceの少なさに触れられ, 指針作成における一般的事項, 欧米との差異, 施設問の差異, ならびに様々な専門分野における差などを考慮したEvidenceを蓄積することの重要性を強調されました. 最後は, 札幌医科大学麻酔科の渡辺廣昭助教授から, 「術後血栓症を予防するために」と題して, 肺塞栓症の各種予防法について, ご自身で比較検討された臨床研究の結果を示して頂きながら, 予防機器の具体的な機種選定方法まで教えて頂きました. 3名の講師の方々はいずれ劣らぬお話の名人で, 居眠りをする人はほとんどなく, 皆さん熱心に聞き入っている様子でした. 講演に引き続き, 参加者と演者の間で行われた30分間を超える質疑応答の時間は, 会場からの医療専門家らしい的を得た多くの鋭い質問と, それに対する講師からの明解な解答で盛り上がりました.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords