Abstract | 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は, 単一でなく多彩な臨床像を呈する. いびき, 無呼吸といった睡眠中の症状で気がつかれる場合もあれば, 過度の眠気など日中の症状を呈する場合, さらには, 睡眠中, 日中とも明らかな症状を有さなくとも, 高血圧, 冠動脈疾患, 心不全, 脳血管障害などが, SASを原因として発症, 進行している場合も少なくはない. また, 中等度以上のSASを有すると生命予後が明らかに悪いことも報告されており1), 米国で行われたsleep heart health studyにおける睡眠時無呼吸の重症度に従い冠動脈疾患, 心不全, 脳血管障害など心血管疾患のリスクが上がるという結果から考えると2)(表1), SAS患者における生命予後の悪化は, これら心血管疾患の合併が影響しているものといってよいであろう. 医療者も含めた多くの人で, SASにおける心血管疾患の合併は, 肥満をベースにした高血圧, 高脂血症, 糖尿病などの生活習慣病が介在して起こるものという認識がなされていることが多く, 単に心血管疾患のハイリスク群にSASが合併しやすいと考えられていることも少なくない. |