Japanese
Title前胸部誘導における陰性T波のベクトルがぺ‐シングによるものと虚血性によるものを区別する
Subtitle文献紹介‐I
Authors入江忠信
Authors(kana)
Organization群馬県立心臓血管センター循環器内科
Journal循環制御
Volume26
Number4
Page349-349
Year/Month2005/12
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract胸部誘導の陰性T波が虚血によるものかcardiacmemoryによるものかはI, III, aVL誘導で区別できる可能性がある. ペーシング後の前胸部誘導のT波の陰転(T‐waveinversion:TWI)はcardiacmemory(CM)として知られているが, 虚血性のTWIに似ている. しかしこれらを区別する確立された心電図診断基準はない. ペーシング後の洞調律におけるT波のベクトルは, ペーシングにおけるQRSのベクトルに近づくという性質があり, 右室ペーシングによるCMでは虚血性のものと異なったパターンのTWIを示す. このため12誘導心電図により2群を区別できるのではないかと考えられ, この検討を行った. 虚血群とCM群に分け, 虚血群はACSに対しPCIを行った228人の連続する患者でTWIが見られた47人, CM群はペースメーカー挿入後1週間経過していてDDDモードでAV-dalayを短く設定した13人がentryされた. TWIの定義は来院後48時間以内に施行された心電図で, 隣り合った2つ以上の胸部誘導でTWI≧0.1mVとし, 虚血群の除外基準として(1)心房細動, (2)左脚ブロック, (3)ペースメーカーの存在, (4)多枝病変に対してPCIを行った症例, (5)安定狭心症に対してelectivePCIを施行した症例, (6)頻発する心室異所性興奮を設けた. これらの患者に対し心電図検査を施行し, T波の極性について検討したところ, 虚血群は90°〜270°に集中しており, CM群は0°〜-90°という傾向が見られた. (1)陽性T, VL, (2)陽性または等電位TI, (3)前胸部で最大のTWI>TWImの組み合わせでCM群としては92%の感度, 100%の特異度であった. またI, aVLで陰性T波が見られれば, 虚血群であることが疑われる. したがってそのような場合には運動負荷試験や冠動脈造影などの検査を考慮する必要があると考えられる. [微量アルブミン尿:非糖尿病患者の急性心筋梗塞に対する3年後の予後を強く予見] 非糖尿病のAMI患者の3年以内のadversecardiaceventの独立した予測因子として微量アルブミン尿の測定は有用である. 糖尿病を合併した急性心筋梗塞(AMI)患者の微量アルブミン尿(MA)による予後予測に関しては研究がなされていたが, このstudyでは非糖尿病患者を対象にしていることが以前のものとの相違である. 175人のAMI患者をprospectiveに3年間追跡し, endpointはcardiac deathおよびacute coronaryeventによる再入院とした. フォローアップ中42人にcardlac eventを認め, cardiaceventの有無で2群に分けたところ, 初回入院中のMA, 肺水腫, 梗塞後狭心症, 高齢, 重度の動脈硬化(高いGensini score)で有意差を認めた. MAが長期予後となぜ関連があるかについては明らかではないが, 血管の傷害を反映すると考えられる. MAは凝固, 内皮機能障害, 炎症と関連があり, それが動脈硬化とも関連があるのではないかと推測されるからである. それを裏付けるものとしてcardiaceventを認めた群ではMAのみならず, 白血球数も有意に上昇している. このようにMAは非糖尿病のAMI患者の予後予測因子として期待できる.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords