Japanese
Title司会の言葉
Subtitle第26回総会ワークショップ「まずは僧帽弁に強くなろう」
Authors岡本浩嗣
Authors(kana)
Organization北里大学医学部麻酔科学
Journal循環制御
Volume27
Number1
Page3-3
Year/Month2006/3
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract僧帽弁はその名の通りルネサンス時代に解剖学者Andreas Vesaliusによって司祭(Bishop)のかぶる帽子に似ているところから名づけられた. 経食道心エコー法(TEE)が発展し, つぶさに僧帽弁を観察できるようになった今も, 僧帽弁が決して平面的ではなく, 先が割れた尖った帽子のような立体的な構造をしているとした彼の観察眼の鋭さには驚かされる. さて, 本ワークショップでは「まずは僧帽弁に強くなろう」と題して左心系の房室弁である僧帽弁について外科的, 内科的側面から5人のエキスパートの方々に講義をして頂く. まず高山先生には解剖とTEEによる基本画面の描出についての講義をお願いした. 僧帽弁は逆流や狭窄病変やその機序を考える時には, 単に前尖, 後尖だけではなく, 弁輪部, 腱索, 乳頭筋, 左室心筋などをあわせてひとつのmitral apparatus(僧帽弁装置)として考える必要がある. 例えば, 僧帽弁逸脱は弁尖や腱索の粘液腫様変性によるものが多く見られ, リウマチ性の変化は弁輪部や弁尖部の石灰化や肥厚による狭窄を来す, 虚血性の僧帽弁逆流は乳頭筋位置異常や左室収縮性の変化によることが多いなどである. これらの病変を正しく評価するためには解剖の理解と基本画面の描出が不可欠だと考える. 次に, 松永先生には, 僧帽弁の定量評価をお願いした. 僧帽弁形成術が脚光を浴びている現況のなかで正しく術前後の逆流の程度を定量評価する事は大変重要なことだからである. 続いて, 夜久先生には虚血性僧帽弁逆流(MR)の病態と手術手技をお願いした. 複雑な本病態に対して外科的視野からまさにメスを入れて頂いている. 後半は二人三脚で術前, 術中, 術後と心臓手術患者を診ていらっしゃる山近先生と江石先生にそれぞれ非虚血性MRの診断と手術手技の講義をお願いした. 手術適応から始まって, 術直前の評価とその手術所見, 術直後の評価と遠隔期の問題点について, まさしく一貫した講義形態となっている. 本ワークショップを通して僧帽弁が少しでも身近に感じてもらえれば幸いである.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords