Abstract | 僧帽弁形成術の進歩に伴い, 術中経食道心エコー法(transesophageal echocardiography:TEE)を用いた僧帽弁機能の評価は必要不可欠なものとなっている. 特に弁形成術後の遺残逆流や狭窄の診断は患者の予後に大きな影響を与える. そこで臨床の場でよく行われる僧帽弁逆流と狭窄の重症度評価法とその問題点について述べる. 「僧帽弁逆流の重症度評価」僧帽弁逆流の重症度評価には, カラードプラ法で描出される逆流ジェットによる半定量的な評価法が簡便で最もよく用いられる. またPISA(proximal isovelocity surface area)法から得られる有効逆流弁口面積を用いた定量的評価もしばしば行われる. 表1に僧帽弁逆流の重症度を評価する半定量法と定量法を示す. A. 逆流ジェットの到達範囲(距離, 面積)による評価 カラードプラ法による僧帽弁逆流ジェットは, 逆流弁口へ向かう左心室内で加速した血流(acceleration flow)と左房内でのモザイク状の逆流ジェットから構成される(図1). この逆流ジェットが最大となる時相と断面を描出して重症度を評価する(表2). |