Japanese
Title卒後臨床研修制度導入とこれからの学術集会のあり方
Subtitle巻頭言
Authors眞下節
Authors(kana)
Organization大阪大学大学院医学系研究科生体統御医学講座麻酔・集中治療医学教室
Journal循環制御
Volume27
Number3
Page177-177
Year/Month2006/9
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract日本麻酔科学会学術集会のプログラムに広報委員会企画の「医学生, スーパーローテーター招待企画」があります. 本企画は数年前から学生招待企画として始められたものですが, 今年の第53回学術集会において爆発的な盛況となりました. 昨年の3倍以上の300名以上の参加者があり, オリエンテーション会場は場外にあふれるほどいっぱいとなりました. 参加者として医学生よりも初期研修医が圧倒的に多かったという事実は非常に重要です. 2004年から導入された卒後臨床研修制度は医師育成の新しい制度として徐々に確立してきており, 全ての若い医師がプライマリケアや初期救急医療を習得できるようになったことはすばらしいと思います. しかし, 彼らの今後の課題は卒後3年目からの後期研修科の選択であり, 専門医になるための道筋を知ることでないかと思います. 今回参加してくれたスーパーローテーターは多分自分の将来の専門科として麻酔科を候補の一つとしており, 参加の目的が学術集会を通して麻酔科の中身と将来性を知ることにあることは間違いありません. このことは, 彼らが近い将来に専門科として麻酔科を選択するか否かについて学術集会が大きな責任を負っているということを意味します. 別の言い方をすると学術集会は初期研修医に対する学会の大きな広告塔であって, 学術集会プログラムの充実化が学会の将来を決定するほどにきわめて重要であるということになります. 先ほど述べましたように, 2004年にスタートした卒後臨床研修必修化から2年が経過し, 今年から後期研修が始まり麻酔科専門医コースを選択する若い医師が全国から集まってきました. その総数は決して少ないものではなく, 全国規模では新研修医制度開始前に比べると少し多くなっているようです. 組織の繁栄と将来を決定するのは人であり, 若い優秀な人材が多数集まってくることが最も重要なことです. これからの課題は, 大学病院をはじめ全国の病院麻酔科に集まってきた麻酔科医の卵を誰がどのように育てていくかということになります. 麻酔科医の卵の中には大学に席をおかずに自由な立場でいる人が非常に多くいます. 専門医育成に大学病院は今後とも重要な役割を果たすことは変わりませんが, これまでのように後期研修医の教育や人事の全てを取り仕切ることはもはや望めません. 私は, 大学病院に代わるものとしてこれからは学会の果たす役割が非常に大きくなってくるのではないかと考えています. 麻酔科学会が中心となって全国レベルで若い麻酔科医を育てていくことが必要になるものと思います. その中で, 学術集会は若い麻酔科医が研鑽を積み親睦を深める場として今後ますます重要になってくるだろうと思います. この視点から, これからの学術集会には若い麻酔科医をターゲットとしたプログラム創りがこれまで以上に求められていくものと考えます.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords