Abstract | 運動中にみられる様々な値から引き出される予後予測因子は, β遮断薬を用いて治療を行っている慢性心不全患者でのmortalityの観点においては, いまだ議論されている, 運動負荷試験後26±20ヶ月followした255人のβ遮断薬内服中患者を含む, 計402人の慢性心不全患者を対象とした. univariate analysisでは, β遮断薬内服中患者では最大酸素摂取量に比してVE/VCO2 slopeのほうが予後規定因子として有用性が高かった. multivariate analysisでは, β遮断薬内服中でない患者においては, 独立した予後規定因子は認めなかった. しかしながら, β遮断薬内服中患者においては, 年齢, NYHA分類, LVEFを加味したcirculatory power(最大酸素摂取量×peak時の収縮期血圧)を含んだmodelが最もよい指標であった. 結論として, 慢性心不全患者において, 運動中に求めることができる値のうち, 最大酸素摂取量やVE/VCO2 slopeよりもcirculatory powerが最もよい独立した予後規定因子である. [初回経皮的冠動脈形成術におけるパクリタキセル溶出性ステントと非コーティングステントの比較]Laarman GJ, Suttorp MJ, Dirksen MT et al. Pa-clitaxel-eluting versus uncoated stents in primary percutaneous coronary intervention. N Engl J Med 2006;355:1105-13. 【背景】薬剤溶出性ステント(DES)による再狭窄の減少が, 経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後における追加手技の必要性を減少させることが示唆されている. 【方法】今回ST上昇をともなう急性心筋梗塞患者619症例をパクリタキセル溶出性ステントと非コーティングステントに無作為に割り付けた. 主要エンドポイントは, 一年後の心臓由来の死亡, 心筋梗塞再発, 標的病変の血行再建術(TLR)の施行とした. 【結果】臨床特性と造影上の所見はベースラインでは両群間に有意差は認めなかった. パクリタキセルステント群では非コーティングステント群に比べ重篤な心イベント発生の率が低い傾向にあった(8. 8%vs. 12. 8%;補正相対リスク0.63;95%信頼区間, 0.37〜1.07;P=0.09). パクリタキセルステント群では非コーティングステント群に比べ, 心臓由来の死亡または心筋梗塞再発の発生率(5.5%vs. 7.2%, P=0.40), TLR施行率(5.3%vs. 7.8%, P=0.23)において有意ではないが, 低い傾向にあった. 一年間の追跡期間中のステント血栓症の発生率は, 両群で同じであった(1.0%). 【結論】ST上昇をともなう急性心筋梗塞に対するパクリタキセル溶出性ステントの使用は, 非コーティングステントに比べ, 統計学的に有意ではないものの, 一年後の重篤な心イベント発生の率が4.0%低下した. |