Abstract | セントルイスのワシントン大学のBarnerが, ヨーロッパ心臓外科学会に招請された時の発表論文であり, レビューであるが, 簡潔でまとまっている. 心筋血行再建術はGruntzig以来, 急速かつ目覚しい進歩を示した. 最近の技術的進歩はあまりに速やかであり, 技術とか薬剤の効果が充分に分析される前に, 次のものが登場する. 経皮的冠動脈形成術(PCI)と冠動脈バイパス術(CAB)との適応の境界線は, 従来, それほど判然としたものではなかったので, 大陸別, 国別, 地域別の違いがかなりあったのが現実だった. バルーン拡張術から薬剤放出性ステントへの進歩で, 再狭窄は減少し, 再形成術も減ったが, 症状の寛解はバイパス術ほどではない. バイパス術のPCIと比べての生存率の優位性は, 数多くの無差別試験ではっきりとは示されていないが, この無差別試験では集団の5%から12%が選択されているのみである. つまり, 高いリスクの患者や, 広範かつ複雑な病変をもっ患者が除かれている. 一方, CABがPCIに比べて生存率が優れているという統計に, これら除外された重い患者群が逆に含まれている. |