Abstract | 睡眠時無呼吸症候群(sleep apnea syndrome:SAS)は多彩な臨床像を呈する症候群である. SASの合併が生命予後を悪化することは1980年代後半から報告されており, 十分な治療を行った群と行わない群では明らかに生命予後が異なっている. 最近の報告でも治療を行っていない重症SAS症例は健常者の2.9倍も致死的心疾患の発症率が高まり, CPAPなどによる十分な治療により健常者と同等までリスクを下げることが確認されている. このようにSASは循環器疾患の発症と密接に関連しており, 特に高血圧, 冠動脈疾患, 不整脈, 心不全および脳卒中などはSASが原因となって進行する場合も少なくない. 本態性高血圧では, その約3分の1の症例にSASが見つかっており, 治療抵抗性の高血圧症例ではSASの合併率が高くなることも報告されている. このような状況を踏まえて, 最近の高血圧ガイドラインであるJNC-7では, SASが二次性高血圧症の原因として取り上げられている. 冠動脈疾患におけるSASの関与も多く報告されるようになり, 無呼吸低呼吸指数(AHI)が10以上の症例では冠動脈疾患の発症リスクが約1.3倍も高いことが確認されている. |