Japanese
TitleカンボジアでもCPR
Subtitle巻頭言
Authors岡田和夫
Authors(kana)
Organization日本蘇生協議会, 帝京大学
Journal循環制御
Volume29
Number1
Page1-1
Year/Month2008/5
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract医学の臨床, 研究を日常の業務として人生を過ごしていて, 自分なりに充足感があった. この医学の常識が音を立てて崩れる体験をしたので以下に述べる, AHAのResuscitation Science Symposiumが去年11月に開催され, 蘇生科学に関する斬新な発表でうまっていた. 先進国は衣食住が保証され, 医療が充足した状況下で蘇生学が論じられていて当然と思っていた. ここでノルウェーのDr. Gilbertが現在もカンボジア, ビルマ, アフリカで内戦での後遺症の不発地雷で瀕死の状況に陥っている人の救命にささげている講演に会場は静まり返った. 彼が, 村人にとけ込んでCPRの訓練, 外傷(足切断)治療を訓練している実際の写真をスライドで示したが, これを“Village University”と呼んで, 村人からこれまで救急の経験はあるが正規の訓練を受けていない人を選びこの“Village University”で訓練をしてCPRの指導者に仕立てている. そして, 彼が村を去ってもこの救急レベルが維持できるシステムを立ち上げたいとした. CPRの実技にはマネキンが必要だがワラと木を十字にして, はかりを置いて胸郭が元の位置に戻る工夫まで組み込んで胸骨圧迫心マッサージを有効に実習させた. 人工呼吸や点滴確保は生徒同士で行わせた. 止血法, 外傷での縫合などは羊や豚を実験台にして実践し, 消毒の理論と実地と鎮痛法も学ばせた. Dr. Gilbertは彼が去った村で村民が蘇生, 外傷処置が行える土台が残せたと報告をまとめた. 北欧とくにノルウェーは北海油田が豊富でGDPが高く, 生活レベルも高いのに何故極貧の村で蘇生に情熱を注ぐかは人生観, 世界観の差であると割り切ることができず, 感動を通り越し畏敬の念が湧き出した. 偶然彼が2002年の日本蘇生学会の特別講演で14℃の超低体温状態で氷河で発見された医師を何の後遺症もなく蘇生させた報告をしていたのを見つけた. 蘇生を深く研究し, 新しい治療を進めていた彼と“Village University”に夢をかけている彼が同一人物かと感銘を深くした. Merlinは西洋史でイギリスのアサー王朝時代の伝説上の魔術師で預言者とも言われた. Merlin SessionがReSSの最後に設けられたが, 2007年時点から2020年では何が最もCPRに貢献するだろうかとの予想をエキスパート達が述べた. Dr. GilbertはCPRでの4倍の法則を提唱した. 2020年には救急車に同乗する医師が4倍, 開発途上国の“Village University”が8倍, 世界中の小, 中, 高校でCPR訓練を受ける生徒数が4倍になると現在の2007年よりCPRによる救命率が4倍に向上すると提唱した. さらにCPRの市民への教育, 訓練は2007年でも最も期待したいと強調した. 我々は宇宙船地球号に共に生きているということを改めて教えられ, 環境問題, 温暖化問題などだけでなくCPRも全世界で共有しあうことの大切さを教えられた.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords