Japanese
Title日本における人工心臓開発について
Subtitle総説
Authors野尻知里, 木島利彦
Authors(kana)
OrganizationTerumo Heart Inc
Journal循環制御
Volume29
Number1
Page42-49
Year/Month2008/5
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「はじめに」1957年12月に, 人工臓器の父として知られるKolff博士の指導のもとに, クリーブランドクリニックにおいて, 世界ではじめて完全置換型の人工心臓の動物実験(空気圧駆動の塩化ビニール製ポンプでイヌが1時間半生存)1)を行ったのは, 昨年亡くなられた阿久津哲造博士であり, 米国Johnson大統領がアポロ計画に匹敵する国家事業として1964年に開始したNIHの人工心臓プロジェクト計画の草案を, ベイラー医科大学のDeBakey博士門下のHall博士とともに作成したのは, Kolff博上のもとに, 阿久津博上の後任として加わったばかりの能勢之彦博士であった. この二人の日本人の先達が常に現場の中心にいた米国の人工心臓開発には, 阿久津, 能勢の両巨頭以外にも, その後, 多数の日本人研究者が参加することになる. 表1に示すように, 米国の人工心臓開発は常に世界の最先端を走り続けているが, その成果のかなりの部分が日本人研究者によって成し遂げられたものである. 一方, 東京大学の渥美和彦博士らが, 人工心臓の動物実験を開始したのは, Kolff, 阿久津らからわずか2年遅れの1959年12月2)であるが, その後, 我が国では, 多数の基礎研究は行われるものの, 商品化にはなかなか結びつかず, 1994年にようやく保険適応となった日本ゼオン, 東洋紡2社の体外設置型空気圧駆動左心補助人工心臓も年間数十例程度の使用に留まり, 日本ゼオンの商品は既に生産中止となっている3).
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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