Abstract | 背景:閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は心筋収縮力に有害な影響を及ぼし, うっ血性心不全の素因となる可能性がある. 方法:初めての終夜睡眠ポリグラフィーとともに超音波心臓検査をうけたOSAが疑われる85例を対象とした交差断面研究. 患者は無呼吸低呼吸指数(AHDに従って次のように分類した:AHI<5(control);5 to 14(mild OSA);and≧15(moderate to severe OSA). 左右の心筋機能はmyocardial performance index(MPI)と他の超音波心臓エコー指標を用いて評価した. 右心室の解析においてはドップラーによる肺動脈収縮期圧≧45mmHgの患者を除外し, 左心室に対してはejection fraction≦45%を除外した. 結果:平均(標準偏差)年齢は60±15歳, 83%が男性だった. 左右の心室機能はOSA患者特にmoderate to severe OSA患者で変化していた. 平均右MPIはcontrolで0.23±0.10, mild OSAで0.26±0.16そしてmoderate to severe OSAで0.37±0.11 (p value for trend, <0.01)であった. 平均左MPIは各々0.28±0.05, 0.27±0.07そして0.41±0.14(p value for trend, 0.04)であった. 右および左のMPIはそれぞれAHIと明確かつ有意に相関していた(p=0.40, p=0.002;p=0.27, p=0.02). 平均左房容量指数(left atrial volume index)はOSA患者で増大していた(control, 26.8±11;mild OSA, 32.5±15;moderate to severe OSA, 30.4±11;p value for trend, 0.04). 結論:OSA特にmoderate to severeの場合には右左の心室機能の障害と左房の容量増加を伴う. これらの所見はOSAが心房細動およびうっ血性心不全を進展させるという見解を支持するものである. |