Abstract | 背景:中枢性睡眠時無呼吸[CSA](CheyneStokes呼吸の有無に拘らず)あるいは閉塞性無呼吸[OSA]はうっ血性心不全[CHF]によくみられる. 貧血の是正がCHFをよく改善する. 貧血の是正はCHFにおける睡眠関連呼吸障害[sleep-related breathing disorders:SRBDs]もまた改善するかもしれないと仮定した. 方法:CHFと貧血(Hb濃度<12g/dL)をもつ38例の患者にヘモグロビン濃度13g/dLを目標としてエリスロポイエチン投与と静脈内鉄剤投与を行った. 治療前と治療3ヵ月後に自宅での睡眠記録を行った. 結果:37例がSRBD(Apnea Hypopnea Index[AHI]≧10)であった. ヘモグロビン濃度は10.4±0.8から12.3±1.2g/dLまで上昇した(p<0.001). 全体のAHIは35.9±12.2から24.9±12.2へ低下した(p<0.001). CSA, OSAおよびCheyne-Stokes呼吸のAHIはそれぞれ26.5±14.6から18.6±7.7へ, 9.4±10.9から6.9±9.8へそして13.1±16.4から9.0±12.2へ低下した(すべてp<0.05). 睡眠中の最低酸素飽和度(SaO2)は62%±12%から71%±11%へ上昇;Epworth Sleepiness Scale(ESS)scoreは9.4±6.2から6.0±5.0へと改善そしてNew York Heart Association(NYHA)classは2.9±0.4から1.7±0.7へと改善していた(すべてp<0.001). ヘモグロビン濃度の改善は, OSA+CSA, CSA, 最低SaO2, ESS score, NYHA classの改善と相関していた(すべてp<0.001). 結論:CHFにおける貧血の改善はSRBDの減少と昼間の眠気を改善する. |