Japanese
Titleビカーボン(R)注
Subtitle薬剤紹介
Authors尾崎眞
Authors(kana)
Organization東京女子医科大学医学部麻酔科学講座
Journal循環制御
Volume29
Number1
Page90-96
Year/Month2008/5
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「はじめに」Latta1)は, 炭酸水素ナトリウムを用いた輸液の投与により, 嘔吐・下痢による致命的な脱水を呈する患者の救命に成功した. しかしながら, 炭酸水素ナトリウムはカルシウム, マグネシウムと混合するとカルシウム塩またはマグネシウム塩を析出し, また, 加熱または放置により二酸化炭素と水に分解するため製剤化が困難であった, Hartmann2)は乳酸ナトリウムが体内で代謝されて炭酸水素イオンを生成することから, 炭酸水素イオンの代わりに乳酸ナトリウムを配合した乳酸リンゲル液の処方を確立した. その後, 乳酸ナトリウムよりも代謝の速やかな酢酸ナトリウムを配合した酢酸リンゲル液が開発され, 現在も乳酸リンゲル液および酢酸リンゲル液の双方が使用されている. しかしながら, これらの製剤は乳酸, または酢酸が体内で代謝され, 炭酸水素イオンが生成されることを前提としたものであり, 代謝能に異常のある患者, ショック等により代謝機能の低下した患者, 大量投与を必要とする救命救急時などでは乳酸, 酢酸の代謝が遅滞するため, 細胞外液補充の意義が十分に発揮できないということが考えられる. そのため, 直接アルカリ化剤として働く炭酸水素ナトリウムを配合した, より生理的なリンゲル液の開発が望まれていた.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

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