Abstract | 「はじめに」心臓領域のMRIは最近急速な進歩を遂げている. 遅延造影MRIは心筋梗塞患者のバイアビリティー診断, 虚血性心疾患患者のリスク層別化, 心不全の病態把握, 心筋症の診断に有用である. 負荷心筋パーフュージョンMRIは負荷心筋SPECTと同等以上の虚血診断能を有し, 虚血性心疾患患者の予後予測にも有用性が示されている. また, whole heart coronary MRAを用いると, 放射線被曝なく冠動脈狭窄の評価を行うことができる. 本稿では, 心臓MRIと冠動脈MRAの進歩について解説する. 「冠動脈MRAの進歩」冠動脈MRAは造影剤投与が不要で放射線被曝を伴わず, 冠動脈壁に高度石灰化があっても狭窄診断が妨げられないなどの利点を持つ. 従来の5チャンネル心臓コイルによるwhole heart 3D coronary MRAの診断能は16列マルチスライスCTとほぼ同等と報告されている. しかし, 冠動脈MRAの3次元画像データ収集速度は64列マルチスライスCTの数十分の1と遅く, 高解像の冠動脈MRAを呼吸停止時間内に撮影することは困難であるため, 心電図同期と呼吸同期を併用した呼吸同期MRAが用いられており, 数年前からwhole heart coronary MRAと呼ばれる方法が広く用いられるようになった. |