Abstract | 「糖尿病透析患者の頻度」糖尿病性腎症による透析導入患者は増加傾向にあり, 日本透析医学会統計調査委員会からの報告では, その1年間に透析導入となった患者の原疾患は, 1998年に慢性糸球体腎炎に替わって糖尿病性腎症が第1位となっている1). その後も糖尿病性腎症の比率は増加し, 2007年に透析導入となった患者の, 43.4%が糖尿病性腎症であり, 2位の慢性糸球体腎炎は24.0%であった. このため, 透析患者全体でみた場合も, 糖尿病透析患者の比率は増加してきており, 2007年末の時点では, 糖尿病性腎症33.4%, 慢性糸球体腎炎40.4%となっている1). 我が国で慢性透析を受けている患者は, 28万人弱であり, 約9万人が糖尿病透析患者となる. このように, 糖尿病透析患者が増加している原因の1つとして, 糖尿病患者自体の増加が指摘されている. 「糖尿性腎症患者の透析導入期の特徴」糖尿病性腎症の患者では, 透析導入期には, 腎不全以外に, 糖尿病性網膜症のような細小血管障害や虚血性心疾患や末梢動脈疾患のような大血管障害を高頻度に合併していることが特徴である. 透析導入期には, 約9割の患者が増殖性網膜症となっていたとの報告や, 冠動脈造影において約8割の患者に冠動脈疾患を合併していたとの報告がある. |