| Abstract | 「はじめに」スーパーオキシド(O2-)などの活性酸素種(ROS；Reactive Oxygen Species)は, 通常生体内の消去系で消去されるが, レニン・アンジオテンシン系(RAS)活性化などの病態においては, 消去系能力を超えるROSが産生される. このROS産生系と消去系のバランスが破綻し酸化に傾いている状態を酸化ストレスという. 酸素の1電子還元で生じるO2-, これにより派生する過酸化水素, ヒドロキシラジカル, および励起状態の酸素である1重項酸素が狭義のROSに含まれる. 過剰に産生されたROSが生体構成物質である蛋白質, 糖質, 脂質, 核酸などを攻撃し細胞障害をもたらす. その一方でROSは細胞内Ca応答, リン酸化, 転写因子の活性化などのレドックス細胞応答における細胞内情報伝達機構や生体防御機構において重要な役割を果たす. 近年の様々な研究から酸化ストレスが関与していない疾患はほとんど無いと言ってよく, 酸化ストレス抑制が新たなる治療標的となっている. 循環器疾患においても, 高血圧, 脂質異常症, 糖尿病, メタボリック症候群, 喫煙などの冠危険因子は, 酸化ストレスを亢進させることが明らかにされている. |
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