Abstract | 「はじめに」高血圧の発症機序は未だ不明であり, 高血圧の大多数は成因が分からない本態性高血圧である. 本態性高血圧には遺伝的素因と環境的素因があり, それらはモザイク説として示されている. その要因の一つである神経性素因が本態性高血圧の約4割に関係があるとされている1). 循環調節は延髄にある延髄孤束核(nucleus tractus solitarii:NTS)や頭側延髄腹外側野(rostral ventrolateral medulla:RVLM)によって調節されており, なかでもRVLMは交感神経活動を規定する循環中枢として知られている(Dampney 1994, Guyenet 2006). それらの循環調節に関わる神経核において神経活動を調節するものとしてグルタミン酸やγアミノ酪酸といった興奮性および抑制性のアミノ酸や, 一酸化窒素が知られている2〜7). 高血圧の発症進展の機序に血管や腎臓における活性酸素種が重要な増悪因子であることが示されている8). 近年, 脳, 特に循環調節に関わる神経核において活性酸素種が重要な調節因子であること, さらには脳内活性酸素種が交感神経活動亢進を介した高血圧の原因となっているという報告が, 我々を含めて相次いでいる9〜17). |