Abstract | 「はじめに」我が国における3大死因は, 悪性腫瘍, 心疾患, 脳卒中であり, 後者2疾患は循環器疾患である. その2つの死亡数を合計すると悪性腫瘍とほぼ同数であり, 単一臓器としては最大の死因といえる. またその特徴は急性期治療が奏功すると救命の可能性や社会復帰率が上昇することである. これまでの調査から, 急性心筋梗塞の死亡の半数は病院外での突然の死亡であることが明らかになった1). 循環器疾患の救命対策のフォーカスは院外にあると言われる所以である. 本稿では, 循環器救急医療の現状とその対策としてIT活用によるプレホスピタルにおける救急隊と病院間連携について紹介をしたい. 「循環器救急医療の現状」2010年は, 心肺蘇生法(CPR)が確立されてから50周年の年で, 国際ガイドライン改訂の年でもあり, 注目されている特別な年である2). 実験中に動物の胸郭を圧迫すると動脈圧が上昇することから, 心臓マッサージの効果がわかり, また, 術後の患者に対して, 気管チューブから呼気を吹き込むことにより, 動脈の酸素飽和度を維持できることが証明され, 口対口呼吸による人工呼吸法が確立された. |