Japanese
Title文献紹介 I 「心臓疾患合併小児の麻酔関連心停止 : POCA登録」
Subtitle
Authors外須美夫
Authors(kana)
Organization九州大学医学研究院麻酔・蘇生学, 編集部
Journal循環制御
Volume31
Number2
Page156-156
Year/Month2010/10
Article抄録
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「Ramamoorthy C, Haberkern CM, Bhananker SM, et al: Anesthesia-related cardiac arrest in children with heart disease: data from the pediatric perioperative cardiac arrest (POCA) registry. Anesth Analg 2010; 110: 1376-82.」 本報告は, 1994年から2005年にかけてアメリカとカナダで実施されたPOCA(Pediatric Perioperative Cardiac Arrest)登録のデータを解析したものである. 参加施設(58〜79施設)から周術期に心停止となった18歳以下の小児の標準的なデータが匿名で収集された. 11年間に373症例の麻酔関連心停止が登録された. 127症例(34%)が心臓疾患児で245症例(66%)が非心臓疾患児だった. 心臓疾患児の病態別では, 単心室が最も多く(19%), 次いで左右シャント疾患が18%, 閉塞型疾患が16%, 心筋症が13%, ファロー4徴症が12%であった. 心臓疾患児では54%(n=69)が一般手術室で心停止が発生し, 26%が心臓手術室, 17%がカテーテル検査室だった. 心臓疾患児の病期は, 未治療が59%で, 姑息的手術後が26%で, 根治手術後が15%であった. 心停止の原因は, 50%が心血管系であり, 心筋虚血や高カリウム血症, ファロー4徴症のスペル, 容量不足, 不整脈などが含まれている. 次は麻酔薬によるもの(20%)で, 吸入麻酔薬による心筋抑制が挙げられており, ハロタンが6%(2000年以前), セボフルランが5%(2000年以降)となっている. 心臓疾患児の心停止児のうち蘇生に関するデータが得られた68人のうち, 蘇生成功は49人で, 19人が不成功だった. 全体の死亡率は, 心臓疾患児が非心臓疾患児と比べて有意に高かった(33% vs 23%). 未治療の心臓疾患児は, 死亡率が43%と最も高く, 姑息的治療後が27%で, 根治手術後が6%であった. 疾患別に見ると, 大動脈弁狭窄症(62%)と心筋症(50%)の心停止は死亡率が高かった(単心室は25%). 心臓疾患児の場合は, 心予備力が少ないので, 他の患児より慎重な周術期管理が求められる. 特に大動脈弁狭窄症と心筋症の心停止は要注意である.
Practice基礎医学・関連科学
Keywords