Abstract | 「Leon MB, Smith CR, Mack M, et al: Transcatheter aortic-valve implantation for aortic stenosis in patients who cannot undergo surgery. N Engl J Med 2010; 363: 1597-607. 」【背景】重度の大動脈弁狭窄症(AS)でコンディションのために大動脈弁置換術(AVR)に適さない患者が大勢いる. 近年, 経皮的大動脈弁置換術(TAVI)が高リスクの大動脈弁狭窄症に対する治療として提案されている. 【方法】外科医が手術に適さないと判断した患者をランダムに一般的治療群とTAVI群に分けて検討した. 経皮的大動脈弁形成術は一般的治療群に含めた. プライマリーエンドポイントは原因を問わない死亡率として比較した. 【結果】358人の患者において検討した結果, 1年での死亡率はTAVI群で30.7%・一般治療群で50.7%(ハザード比0.55, 95%信頼区間0.40〜0.74, p<0.001), 死亡率と再入院率を含めた場合はそれぞれ42.5%, 71.6%(ハザード比0.46, 95%信頼区間0.35〜0.59, p<0.001)であった. また, 1年間生存した人の心不全症状(NYHA class III & IV)はTAVI群で25.2%, 一般治療群で58.0%とTAVI群で有意に低かった(p<0.001). しかし30日の時点で脳梗塞はTAVI群で5.0%, 一般治療群で1.1%(p=0.06)と有意差は認めないもののTAVI群で多い傾向にあり, 主要血管合併症はTAVI群で16.2%, 一般治療群で1.1%とTAVI群で有意に高かった(p<0.001). TAVI後の1年ではエコーで評価したところ弁機能の悪化は認めなかった. 【結論】AVRに適さないASの患者においてはTAVIが一般的治療と比較して死亡率・再入院率・心不全症状の有意な改善をもたらすが, 脳梗塞と血管合併症のリスクはTAVI群において高いことが示された. |