Abstract | 「質問(1) なぜ臨床でQT延長が見逃せないのですか? 」顕著なQT延長は, torsade de pointes (TdP)と呼ばれる重篤な多形性心室頻拍を惹起することがある. TdPは頻脈持続中のQRS波の極性が基線上を捻れるように変化する心室頻拍(VT)であり, 頻拍中は150〜300/分の頻拍数となるため, 失神などの重篤な症状が発現しやすい. 時として心室細動(VF)へと移行し, 致死的となる場合があるので不整脈の中でも特に重要視されている. すなわち, QT延長からTdPが起こり, VFに移行することが生命に対して危機的となるため, QT延長を見極めることが重要である. 「質問(2) QT延長症はどのような状態の時になりやすいのですか? 」QT延長を認める病態としてQT延長症候群(LQTS)がある. LQTSは, 「先天性LQTS」と「後天性LQTS」に大別される. 前者は, 遺伝子異常に伴う左右の交感神経の不均衡により発現する場合や, Na+channelをコードする遺伝子SCN5A, K+channelをコードする遺伝子HERG (human either-a-gogo related gene)などの欠損により発現することも確認されている. |