Abstract | 「急性冠症候群患者におけるリバロキサバン」Mega JL, Braunwald E, Wiviott SD, et al: Rivaroxaban in patients with a recent acute coronary syndrome. N Engl J Med 2012; 366: 9-19. 「要約」: 急性冠症候群患者においてリバロキサバンは心血管死亡, 心筋梗塞, 脳卒中のリスクを低下させ, 致命的出血のリスクは増加させなかった. 「背景」: 急性冠症候群は多層血栓形成を伴う冠動脈アテローム硬化により生じる. Xa因子は血栓形成において中心的な役割を担うため低用量リバロキサバンによるXa因子阻害は急性冠症候群症例の心血管系の予後を改善しうる. 「方法」: 二重盲検プラセボ対照試験により15,526例の急性冠症候群患者をリバロキサバン2.5mg 1日2回, 5mg 1日2回, プラセボの群に無作為に割付け, 主要有効性エンドポイントを心血管死亡, 心筋梗塞, 脳卒中の複合とした. 「結果」: リバロキサバンはプラセボに比較し主要有効性エンドポイントを各々8.9%, 10.7%と有意に減少させた. 2.5mgは心血管死亡, 全死亡を低下させ, これは5mgには認めない生存利益である. また冠動脈バイパスグラフトに関係しない大出血, 頭蓋内出血を増加させたが, 致命的出血や他の有害事象の有意な増加はなく, 2.5mgは5mgより致命的出血は少なかった. 「結論」: 急性冠症候群患者においてリバロキサバンは心血管死亡, 心筋梗塞, 脳卒中死亡の複合エンドポイントのリスクを低下させた. また大出血, 頭蓋内出血のリスクを増加させたが致命的出血のリスクは増加させなかった. |