Abstract | 1. はじめに 心臓の収縮性(contractile state)と酸素消費量(oxygen consumption)との関係についての研究は, 1959年のGreolaら1), 1964年のKrasnowら2)などに始まる. カテコールアミンなどの陽性変力作用剤(positive inotropic agent)は, 動脈圧, 心拍出量, 心拍数を一定に保っていても, 酸素消費量を著しく増す3). この際, 心仕事(量)が増さないので, カテコールアミンには酸素浪費効果(oxygen wasting effect)があると言われている4). Sonnenblickは, この浪費される酸素が, 無負荷最大短縮速度Vmax, (dp/dt)maxなどの収縮性の指標に比例することを見出した3). Gibbsは, 心筋の熱産生の実験から, 陽性変力効果によって増す熱産生量は, 主として筋の活動化(activation), すなわち形質膜の電気的興奮にはじまって, 収縮蛋白の相互反応を引き起こす, いわゆる興奮収縮連関(excitation-contraction coupling)が亢進することによるものと考えている5). |