Japanese
Title麻酔とプレコンディショニング
Subtitle総説
Authors山中寛男, 林行雄
Authors(kana)
Organization大阪大学大学院医学系研究科麻酔・集中治療医学講座
Journal循環制御
Volume27
Number4
Page332-345
Year/Month2006/12
Article報告
Publisher日本循環制御医学会
Abstract「プレコンディショニングの概念とそのメカニズム」プレコンディショニングはMurryらによって提唱された概念で, 彼らはイヌにおいて冠血管の5分間の虚血を4回繰り返した後に40分間虚血を与えると, 先行虚血を与えない群と比較して心筋梗塞サイズが縮小することを報告し, もともとは先行する短時間の心筋虚血がその後の心筋梗塞に対する耐性が増強する現象であり, ischemic preconditioning(IPC)と呼ばれる1). その後多くの科学者の関心を集め, 基礎的なメカニズムから臨床への応用まで幾多の研究が発表され, その総説も数多く存在する2〜13). これまでの研究で, この現象がヒトを含めた幾多の動物にも認められることや種差も存在することも示された. 数多くの研究成果があるとはいえそのメカニズムの全容が明らかになったわけではないが, いくつかの重要な因子は同定されつつある. 図1にプレコンディショニングの細胞内伝達機構の概略を示すが, 最もよく知られている経路としてアデノシンA1受容体, αアドレナリン受容体, βアドレナリン受容体, δ-オピオイド受容体等がリガンドの結合等により活性化され, 連結結合するG蛋白を活性化, それがホスホリパーゼC等を介して, ホスファチジルイノシトール2リン酸(PIP2)からイノシトール3リン酸(IP3)とジアシルグリセロール(DG)を産生, DGはprotein kinase C(PKC)を活性化する3, 8, 11).
Practice基礎医学・関連科学
Keywords

【全文PDF】